この記事のポイント
- 空室が多い物件でも、売却はできます。ただし、売り方によって、手元に残る金額と時間が大きく変わります。
- 判断の軸は、空室のまま待つと毎月いくら持ち出すか、です。
空室が多いと、評価が下がる理由
収益物件の価格は、その物件が生む収益をもとに考えるのが基本です。家賃収入から経費を引いた純収益を、期待される利回りで割って、価格の目安を出します。空室が増えれば純収益が減るため、同じ建物でも評価が下がります。
もう一つの理由は、買い手が限られることです。入居率が低い物件は、金融機関の融資が付きにくくなります。融資を使えない買い手は、現金で買える人に絞られます。
売り方は、大きく3つ
空室が多い物件の売り方は、次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
- 満室にしてから売る:入居者を募集し、入居率を上げてから売る方法です。評価は上がりやすい反面、募集の期間と、リフォームなどの費用がかかります。募集に時間がかかっても、その間の固定費は出ていきます。
- 現況のまま、仲介で売る:不動産会社に買い手を探してもらう方法です。条件が合えば高く売れる可能性があります。一方で、いつ売れるかが読めず、内覧の対応も必要です。
- 不動産会社に、直接買い取ってもらう:買い手を探す期間がなく、時期が決めやすい方法です。そのかわり、買取価格は仲介で売れた場合より低くなることが多くなります。
判断の目安:空室のまま、毎月いくら持ち出しているか
どの方法が合うかは、物件を持ち続ける間の負担で、大きく変わります。次の式で、毎月の持ち出しを計算してみてください。
毎月の持ち出し = ローン返済額 + 固定資産税・管理費・保険料などの月割り額 + 修繕費の月割り額 − 家賃収入
この金額に、売れるまでの月数をかけたものが、待つことのコストです。たとえば毎月20万円の持ち出しで、売れるまでに半年かかるなら、120万円です。仲介で見込める価格の上積みが、このコストを上回るかどうかが、判断の分かれ目になります。
どの方法が向いているか
目安として、次のように考えられます。物件の状況によって変わるため、実際には個別の確認が必要です。
- 時間に余裕があり、リフォーム費用も出せる:満室にしてから売る方法を検討する価値があります。
- 売れる時期が読めても構わない:仲介で、価格を試す方法があります。
- 毎月の持ち出しが重い、修繕費を出しにくい、時期を決めたい:買取が向いています。
査定を依頼するときに用意するもの
次の資料があると、査定がスムーズです。揃っていなくても、ご相談はできます。
- 入居状況と家賃が分かる一覧表(レントロール)
- 登記簿謄本
- 固定資産税の納税通知書
- 融資の返済予定表(残高が分かるもの)
- 直近の修繕の履歴
この記事は、一般的な考え方を説明したものです。個別の物件や、税金・法律の判断は、状況によって変わります。税金は税理士に、法律は弁護士に、ご確認ください。